asumibの日記

日々の生活を綴ったものです。

病理解剖とは何か

解剖と聞いて、まず思い浮かべるの

なんでしょうか。

理科の実習でカエル、フナなどの体を

メスで切り開くイメージでしょうか。



そう、それが解剖です。



ただ私が仕事としてやっている解剖の相手は

人間です。

亡くなった患者さまです。


病理解剖は病院で亡くなった患者さまの

死因を明らかにする目的で行います。

病理解剖を行う際は担当医師から遺族へ

今後の医学発展の為にと病理解剖を勧められます。


病気で苦しんだ患者を亡くなってから

さらに身体を傷つけるなんて…

断る遺族も少なくありません。


逆に死因を明らかにしてほしいと

解剖の承諾を下さる遺族もいらっしゃいます。

大切な方が亡くなって辛くて悲しいのに

解剖の承諾を下さるのは

本当にありがたいことだと思います。


こうして病理解剖の承諾、承諾書を頂き

実際に解剖に入っていくのです。


まず葬儀屋がご遺体を解剖室に運びます。

そして解剖専用のステンレス性の台へ乗せます。

葬儀屋がご遺体を運んでいる間に

解剖補助の私は専用のオペ着に似た

服に着替えます。

その上に使い捨て(ディスポーザブル)の

かっぽう着様の服、帽子、アームカバー

手袋、シールド着きマスク、

ビニール性エプロン、長靴を身につけます。


解剖補助の他に執刀医として入るのが

病理医です。

服装は解剖補助と同じです。

f:id:asumib:20170907231309j:plain


次に解剖時に使用する器具

臓器を撮影するカメラ、カメラ台

身体から取り出した臓器の腐敗を防ぐ

ホルマリンを用意します。


全ての準備が整ったら

ご遺体の担当医者から

今までの病歴、入院から死亡時までの経過

解剖時に具体的にどこを見てほしいか

を伝えられます。




そして解剖が始まります。



基本的には病理医が臓器を取り出し

解剖補助が臓器の重さ

臓器の写真を撮っていきます。


ですが、なぜか脊髄と脳は解剖補助が

取り出すことが多いです。

どちらの臓器も

骨をストライカー(電動のこぎり)で

切って取り出さなければいけないので

女性の解剖補助は大変です。

意外かもしれませんが

骨ってストライカーを

使っても中々切れないことがあります。

力を使います。



全ての臓器(脳は取らない場合も)を取り出したら

お腹に布や紙を丸めたものつめて

臓器を取り出す前と同じ膨らみにします。

そして取り外していた肋骨、胸骨を

はめ込みます。

あとは切り開いていた皮膚を

細かく丁寧に縫い合わせます。

この時、私は亡くなった患者さまに

解剖をさせて頂き、ありがとうございました。

またご遺体を提供して頂いたご遺族へ

感謝の気持ちを込めて縫うようにしてます。

人生最初の解剖に入ったとき病理医のI先生が

そう教えて下さいました。


最後はご遺体をキレイに洗い

葬儀屋へ引渡します。




病理に関わっているからこそ出来る仕事

最初は正直、キツイ、辛いと思っていましたが

将来の医学発展の為に貢献出来るこの仕事を

今は誇りに思います。